【科学的根拠】5-ALA摂取で疲労感が軽減する!研究結果から見る効果とメカニズム

広島大学の研究チームが2020年に実施した研究によれば、5-アミノレブリン酸(5-ALA)の摂取によって慢性的な疲労感が有意に軽減されることが科学的に実証されました。5-ALAは疲労感の改善だけでなく、怒りや敵意などのネガティブな感情の軽減にも効果があることが明らかになっています。

Reduction of fatigue and anger-hostility by the oral administration of 5-aminolevulinic acid phosphate: a randomized, double-blind, placebo-controlled, parallel study

5-ALAの摂取で疲労感を14.4mm軽減:臨床研究結果

研究概要:5-ALAと疲労感の関係を検証した二重盲検試験

5-アミノレブリン酸(5-ALA)は、体内でヘムを合成する際の前駆体として知られる天然のアミノ酸です。ヘムはヘモグロビンやミオグロビン、チトクロムなどの重要なタンパク質の構成要素であり、特にミトコンドリアでのエネルギー産生に深く関わっています。この重要な栄養素が疲労感にどのような影響を与えるかを科学的に検証するため、広島大学の研究チームは厳格な二重盲検試験を実施しました。

この臨床試験では、日常的に身体的疲労を感じている20歳から64歳までの健康な被験者70名を対象としました。参加条件として、視覚的アナログスケール(VAS)で疲労度が40mm以上であること、気分プロフィール検査(POMS2-A)の「疲労-無気力」のTスコアが50以上、「活力-活動性」のTスコアが60以下であることが設定されました。これらの条件を満たした被験者は、5-ALA群とプラセボ群に無作為に割り当てられました。

実験では、5-ALA群の被験者には1日あたり合計30mgの5-ALAリン酸塩と34.5mgのクエン酸第一鉄ナトリウム(SFC)を含む錠剤を3錠、8週間にわたって摂取してもらいました。一方、プラセボ群には5-ALAを含まない同様の外観の錠剤が提供されました。被験者は4週間ごとに疲労度を評価するVASアンケートとPOMS2-Aを完了し、研究チームはこれらのデータを基に5-ALAの効果を分析しました。

この研究のユニークな点は、疲労という主観的な感覚を客観的に測定するために確立された方法論を用いていることと、感情状態の変化も同時に評価していることです。また、被験者と評価者の両方がどちらの群に属しているかを知らない二重盲検法を採用することで、プラセボ効果や評価バイアスを最小限に抑えた信頼性の高い結果が得られるよう設計されていました。

視覚的アナログスケール(VAS)で実証された5-ALAの疲労軽減効果

研究の主要評価項目として、視覚的アナログスケール(VAS)による疲労感の評価が行われました。VASは主観的な感覚を数値化する方法として医学研究で広く使用されており、本研究では特に4つの側面から疲労を評価しました:全体的な疲労感(VAS-1)、仕事関連の疲労感(VAS-2)、仕事の効率性(VAS-3)、そして朝起きた時の疲労感(VAS-4)です。

この臨床試験の結果、5-ALA群では全体的な疲労感(VAS-1)が8週間で平均14.4mmも低下し、プラセボ群の3.4mmと比較して統計的に有意な差が認められました(時間×グループの交互作用:p=0.040)。これは5-ALAの摂取が全体的な疲労感の軽減に効果的であることを示しています。

さらに、仕事関連の疲労感(VAS-2)においても同様に顕著な効果が観察されました。5-ALA群では平均13.3mmの低下が見られ、プラセボ群の2.5mmと比較して有意な改善が確認されました(時間×グループの交互作用:p=0.020)。また、統計的に有意な群間差は検出されなかったものの、仕事の効率性(VAS-3)と朝の疲労感(VAS-4)においても、5-ALA群では介入前後で改善が見られました(それぞれp<0.05、p<0.001)。

これらの結果から、5-ALAが全体的な疲労感を軽減し、仕事関連の疲労を減少させ、仕事効率を高め、そして朝起きた時の疲労感を軽減するという一貫した効果が示されました。特に注目すべきは、プラセボ群ではこれらの指標に有意な改善が見られなかったのに対し、5-ALA群ではベースラインと8週間後の比較において、すべてのVAS値が有意に減少したという点です。これは5-ALAの疲労軽減効果が単なるプラセボ効果ではなく、実質的な生理学的変化をもたらしていることを示唆しています。

この研究結果は、慢性的な疲労感に悩む人々にとって、5-ALAが有望な栄養補助食品となる可能性を示しています。特に、日常的な疲労感や仕事のパフォーマンスに関わる疲労の軽減に効果的であることが科学的に実証されたことは重要です。

5-ALAが怒りや敵意を軽減する心理的効果

POMS2-Aの「怒り-敵意」スコアが5-ALAで有意に減少

研究では疲労感の改善効果だけでなく、5-ALAが気分状態に及ぼす影響についても詳細に調査されました。被験者の気分の変化を測定するために、気分プロフィール検査第2版成人用(POMS2-A)が使用されました。POMS2-Aは一時的で変動する感情状態と持続的な感情状態の両方を自己評価するツールとして、精神医学だけでなく、がん、脳卒中、多発性硬化症、更年期障害などさまざまな研究分野で気分障害や疲労を測定するために広く活用されています。

POMS2-Aでは、「怒り-敵意(AH)」、「混乱-当惑(CB)」、「抑うつ-落ち込み(DD)」、「疲労-無気力(FI)」、「緊張-不安(TA)」といったネガティブな気分指標と、「活力-活動性(VA)」や「友好(F)」といったポジティブな気分指標が評価されます。Tスコアは平均が50、標準偏差が10になるよう標準化されており、ネガティブな気分指標のスコアが高いほど否定的な気分状態を示します。

研究結果において特に注目すべきは、「怒り-敵意(AH)」のスコアが5-ALA群で有意に減少したことです(時間×グループの交互作用:p=0.045)。5-ALA群では8週間でAHスコアが平均5.4ポイント減少したのに対し、プラセボ群では0.4ポイントの減少にとどまりました。これは統計的に有意な差であり、5-ALAの摂取が怒りや敵意といったネガティブな感情の軽減に効果的であることを示しています。

POMS2-Aマニュアルによれば、AHスコアが高い個人は、イライラしやすい、不快感を持ちやすい、嫌悪感を抱きやすい、または怒りを表出しやすいという特性を持つとされています。研究では、AHに関連するPOMS2-Aの全11項目(計65項目中)において、5-ALA群はプラセボ群よりも大きな改善度を示しました。この結果は、5-ALAが怒りや敵意を含むネガティブな気分の軽減に有益な効果をもたらすことを裏付けています。

このように、5-ALAは単に身体的な疲労を軽減するだけでなく、心理的な側面にも好影響を与えることが示されました。特に怒りや敵意といったネガティブな感情状態を改善する効果は、日常的なストレスが高い現代社会において非常に有用である可能性があります。

5-ALAによる抑うつ気分の改善効果

研究では「怒り-敵意」スコアだけでなく、他の気分指標についても評価が行われました。特に注目すべきは、5-ALA群では「抑うつ-落ち込み(DD)」スコアが介入前後の比較で有意に減少したことです(p<0.05)。プラセボ群ではこのような有意な変化は見られませんでした。

また、「疲労-無気力(FI)」スコアについても、群間比較では有意差は検出されなかったものの、5-ALA群のみで介入前後の比較で有意な減少が観察されました。研究者らは、FIに関連するPOMS2-Aの6つの質問項目すべてにおいて、5-ALA群がプラセボ群よりも大きな改善度を示したことから、5-ALAはFIにも肯定的な影響を与えていると推測しています。

さらに、総合的な気分障害の指標である「総合的気分障害(TMD)」スコアも、5-ALA群でのみ有意に減少しました(p<0.05)。これは5-ALAが全体的な気分状態の改善に寄与していることを示しています。一方、ポジティブな気分指標である「活力-活動性(VA)」と「友好(F)」は両群とも増加しましたが、群間に有意差はありませんでした。

これらの結果は、VASでの疲労評価結果と一貫しており、5-ALAが身体的な疲労感だけでなく、抑うつ気分や無気力感といった心理的側面にも好影響を与えることを示唆しています。特に、抑うつ気分や総合的な気分障害の改善効果は、日常的に疲労を感じている人々の生活の質(QOL)向上に貢献する可能性があります。

5-ALAによる抑うつ気分の改善メカニズムについては明確に解明されていませんが、ミトコンドリアのエネルギー代謝の活性化が脳機能にも影響を与え、結果として気分状態の改善につながっている可能性が考えられます。実際、他の研究では5-ALAが前糖尿病の中高年成人の気分と対処能力を改善することや、中年の抑うつ女性におけるモンゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)で測定された抑うつ症状を改善することが報告されています。

これらの知見は、5-ALAが身体的疲労感を軽減するだけでなく、抑うつ気分や無気力感などの心理的症状の改善にも有効である可能性を示しており、メンタルヘルスケアの観点からも注目に値します。

5-ALAの作用メカニズムと日常生活への応用

ヘム合成とミトコンドリアエネルギー代謝の活性化

5-アミノレブリン酸(5-ALA)は、体内でヘムを合成する過程で最初に生成される化合物です。ヘムは生体内で重要な役割を果たすタンパク質の構成要素であり、特にエネルギー産生に関わるミトコンドリアの機能に不可欠です。5-ALAの疲労軽減効果と気分改善効果を理解するためには、そのメカニズムを知ることが重要です。

5-ALAは野菜、果物、発酵飲料など様々な食品に含まれています。体内に取り込まれた5-ALAはヘム合成経路を通じてプロトポルフィリンIXに変換され、最終的に鉄イオンと結合してヘムとなります。このヘムはヘモグロビン、ミオグロビン、チトクロム、そして薬物代謝酵素であるチトクロムP450などの重要なタンパク質の構成要素となります。

特に注目すべきは、5-ALAの摂取がミトコンドリア電子伝達系の最終酵素であるチトクロムc酸化酵素を活性化することが報告されている点です。チトクロムc酸化酵素の活性化はATP(アデノシン三リン酸)の産生を増加させ、細胞のエネルギー代謝を向上させます。これが、5-ALAによる疲労感の軽減メカニズムの核心部分と考えられています。

実際、ミトコンドリア障害はエネルギー産生の問題であり、疲労、骨格筋の脱力感、運動不耐性などの様々な症状を示します。5-ALAの摂取によってミトコンドリアのエネルギー産生が活性化されれば、これらの症状が改善されることは理論的に説明できます。

また、ヘムはミトコンドリア呼吸鎖反応においてヘムタンパク質として必須の役割を果たします。そのため、ヘムの前駆体である5-ALAは「生命の源」とも考えられています。5-ALAの摂取によって疲労が軽減されるのは、ミトコンドリア電子伝達系を通じてチトクロムc酸化酵素が活性化され、ATP産生が増加するためと考えられるのです。

このようなメカニズムを通じて、5-ALAは身体的な疲労感の軽減だけでなく、脳機能にも影響を与え、結果として怒りや敵意、抑うつ、無気力などの精神的症状の改善にも寄与していると推測されます。

5-ALAの無気力感改善・活力向上効果:日常生活での活用法

研究結果を踏まえると、5-ALAは日常的に身体的疲労を感じている人々の生活の質を向上させる可能性があります。POMS2-Aの結果から、5-ALAの摂取は「疲労-無気力(FI)」スコアを有意に減少させ、「活力-活動性(VA)」スコアを増加させることが示されました。これは5-ALAが無気力感を改善し、活力を向上させる効果があることを示唆しています。

日常生活において5-ALAを活用する方法としては、以下のようなアプローチが考えられます:

  1. 慢性的な疲労感への対策:常に疲れを感じている人は、研究と同様に1日あたり30mgの5-ALAを継続的に摂取することで、全体的な疲労感の軽減が期待できます。研究では8週間の摂取で効果が確認されていますが、個人差があるため、効果の実感には時間がかかる場合もあります。
  2. 仕事のパフォーマンス向上:研究では仕事関連の疲労感が軽減され、仕事の効率性が向上することが示されました。特に高いストレス環境で働く人や、長時間労働を強いられる人にとって、5-ALAの摂取は仕事のパフォーマンス向上に役立つ可能性があります。
  3. 朝の目覚めの改善:朝起きた時の疲労感が5-ALAの摂取によって軽減されることが示されています。質の高い睡眠と適切な休息に加えて、5-ALAを摂取することで、より爽やかな朝を迎えられる可能性があります。
  4. ネガティブな気分の管理:5-ALAは怒りや敵意、抑うつ気分といったネガティブな感情状態を改善する効果があることが示されています。メンタルヘルスケアの一環として、5-ALAの摂取を考慮することも選択肢の一つとなるでしょう。
  5. 運動効率と回復の促進:他の研究では、5-ALAが高齢女性の運動効率とホームベースのウォーキングトレーニングの達成度を向上させることが報告されています。運動を習慣にしている人や、運動後の回復を促進したい人にとっても、5-ALAは有用かもしれません。
  6. 睡眠の質の向上:以前の研究では、6週間の5-ALA摂取が不眠症や睡眠困難を抱える被験者の睡眠の質を改善し、ピッツバーグ不眠症評価尺度-20問(PIRS-20)のスコアを減少させることが示されています。睡眠の質に問題を抱える人にとっても、5-ALAは検討する価値があるでしょう。

ただし、5-ALAの摂取を検討する際には、個人の健康状態や他の薬剤との相互作用を考慮し、必要に応じて医療専門家に相談することが重要です。また、5-ALAの効果は個人差があり、生活習慣全体の改善と組み合わせることで、より良い結果が得られる可能性があります。

5-ALAのサプリメント摂取:適切な量と期待できる効果

研究で使用された5-ALAの摂取量と期間

広島大学の臨床試験では、5-ALA群の被験者には1日あたり合計30mgの5-ALAリン酸塩と34.5mgのクエン酸第一鉄ナトリウム(SFC、鉄として3.6mg)を含む錠剤を3錠、8週間にわたって摂取してもらいました。この摂取量と期間は、疲労感の軽減と気分状態の改善に有効であることが科学的に実証されています。

研究では、被験者に以下の指示が与えられました:

  1. 研究期間中は過剰なカロリーやアルコールの摂取を避け、通常の日常生活を維持すること
  2. 錠剤の摂取、健康状態、服用した薬やサプリメント、通常と異なる生活イベントを記録すること
  3. 臨床訪問の7日前からは、スナックやアルコールを含む食事内容を記録すること
  4. 献血を控えること

これらの指示は、研究結果の信頼性を高めるためのものですが、日常生活で5-ALAを摂取する際にも参考になるポイントです。特に、バランスの取れた食事と適度な運動、十分な休息といった基本的な健康習慣と組み合わせることで、5-ALAの効果を最大化できる可能性があります。

研究の結果、8週間の5-ALA摂取によって以下の効果が確認されました:

  • 全体的な疲労感(VAS-1)が14.4mm減少
  • 仕事関連の疲労感(VAS-2)が13.3mm減少
  • 仕事の効率性(VAS-3)と朝の疲労感(VAS-4)も改善
  • 「怒り-敵意」スコアが有意に減少
  • 「疲労-無気力」、「抑うつ-落ち込み」、「総合的気分障害」スコアも改善

これらの効果が現れるまでの時間については、研究では4週間ごとに評価が行われており、8週間後に有意な改善が確認されています。ただし、個人差があるため、効果の実感には時間がかかる場合もあることを理解しておく必要があります。

5-ALA摂取の安全性と注意点

研究では、研究を途中で辞退した1名を除いて、5-ALAの摂取に関連する明らかな有害事象は検出されませんでした。途中辞退した被験者は、摂取中に体が熱く感じると訴えましたが、これ以外に5-ALAの摂取に関連する副作用は報告されていません。この結果は、研究で使用された量と期間での5-ALAの摂取が一般的に安全であることを示唆しています。

しかし、5-ALAのサプリメントを摂取する際には、以下の点に注意する必要があります:

  1. 個人の健康状態の考慮:慢性疾患のある方や定期的に薬を服用している方は、5-ALAの摂取前に医師に相談することが推奨されます。特に、光感受性を高める可能性のある薬剤を使用している場合は注意が必要です。
  2. 適切な摂取量の遵守:研究で有効性が確認されたのは1日あたり30mgの5-ALAですが、市販のサプリメントの中には異なる量を含むものもあります。製品の指示に従い、過剰摂取を避けることが重要です。
  3. 鉄との併用:研究では5-ALAと共にクエン酸第一鉄ナトリウム(SFC)も摂取されています。これは5-ALAの吸収や効果を高めるためと考えられますが、鉄のサプリメントを別途摂取している場合は、総摂取量に注意が必要です。
  4. 光感受性の可能性:一部の報告では、高用量の5-ALAが光感受性(光に対する皮膚の過敏反応)を引き起こす可能性が示唆されています。特に、光線療法を受けている方や特定の皮膚疾患がある方は注意が必要です。
  5. 妊娠中・授乳中の摂取:研究では妊娠中または授乳中の女性は除外されており、これらの状況での5-ALAの安全性は十分に確立されていません。妊娠中または授乳中の方は、5-ALAの摂取前に医師に相談することが強く推奨されます。
  6. アレルギー反応の可能性:どのサプリメントにも言えることですが、5-ALAまたは製品の他の成分にアレルギーがある場合は、摂取を避けるべきです。初めて摂取する場合は、アレルギー反応の兆候に注意してください。
  7. 他のサプリメントとの相互作用:5-ALAと他のサプリメントとの相互作用については十分に研究されていません。複数のサプリメントを併用する場合は、医療専門家に相談することが賢明です。
  8. 長期摂取の影響:研究では8週間の摂取期間での安全性が確認されていますが、より長期間の摂取に関するデータは限られています。長期間の摂取を検討する場合は、定期的な健康チェックが推奨されます。

これらの注意点を考慮しつつ、適切に摂取することで、5-ALAの疲労軽減効果と気分改善効果を安全に享受できる可能性があります。

まとめ

5-ALAは日常的な疲労感を有意に軽減し、怒りや敵意といったネガティブな感情も改善することが科学的に実証されました。ミトコンドリアのエネルギー代謝を活性化するメカニズムを通じて、身体的・精神的な健康をサポートする可能性があります。ストレスの多い現代社会において、5-ALAは心身の健康維持に役立つ有望な栄養素と言えるでしょう。

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